Book.日本企業の最新戦略に学ぶ「なぜ女はメルカリに、男はヤフオクに惹かれるのか~アマゾンに勝つ!日本企業のすごいマーケティング」

「なぜ女はメリカリに、男はヤフオクに惹かれるのか?」
(田中道昭、牛窪恵著 光文社)

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 2018年4月のフリマアプリ市場は4835億円(経済産業省調べ)となり、ここ数年で急速に市場が拡大。その中で注目される企業が「メリカリ」と「Yahoo!オークション」(ヤフージャパン)で通称「ヤフオク!」(以下「ヤフオク」)です。ちなみにフリマとは不用品を売買するフリーマーケットを指します。
 2018 年6月に東証マザースに上場した「メリカリ」の国内ダウンロード数は7100 万件を突破(同7月)しました。18年度6月期連結決算の売上高は334億円で、15 年度売上高42億円の8倍となったのです(18年度12月期は広告宣伝費などが要因となり最終損益が42億円の赤字)。また、利用者数で「メリカリ」と同じ利用者数1800万人を獲得しているのが「ヤフオク」です。この2社はインターネットを通じて中古品を売買できる事業を展開しています(「ヤフオク」はオークション中心)。

 

「なぜ女はメルカリに、男はヤフオクに惹かれるのか~アマゾンに勝つ!日本企業のすごいマーケティング」(田中道昭、牛窪恵著 光文社)では、同2社や「LINE」「オイシックス」など好調に推移している企業が、どんなマーケティング戦略で多くのユーザーを獲得しているのかを分析しています。
 著者の田中道昭立教大学ビジネススクール教授は企業戦略やマーケティング戦略が専門でアマゾン分析第一人者でもあることから、同社の最新情報についても分析。また、牛窪恵さんはトレンド評論家で多くのマーケティング関連の著作があります。

 
 

女性が安心する「メリカリ」

「メリカリ」はスマートフォンやタブレットのアプリやパソコンで誰でも無料で利用できます。売買が成立するまでは本名や住所を「メリカリ」以外の第三者に明らかにする必要はありません。場合によっては価格を値切ることができるシステムです。売る側と買う側が直接行える商取引で、モノやサービス、場所などを多くの人と共有し交換できる「シェアリングエコノミー」といえます。
 2018年7月現在で最も多く取引された衣料ブランドは「ユニクロ」、高く売れた物は1粒315万円のダイヤモンド、多く「いいね」されたのは「どんぐり」で、「使いかけの限定コスメ」」なども今までの店頭ではない商品が売買されたりしました。
 
 一方、「ヤフオク」はオークションサイト中心のサイトで、「機動戦士ガンダム」のプラモデルや、「トミカ」の幻のミニカーなど、マニアックな商品が競売で売買されるサイトです。その点で「メリカリ」は価格を出品者と交渉したりでき、 「対話する、共感する」楽しさを伝える「メリカリ」に女性ユーザーが多く、 「価格を競う」刺激を提供する「ヤフオク」には男性ユーザーが多いのです。

カスタマーエクスペリエンス
 

有機野菜や無添加加工食品の宅配サービス「Oisix(以下オイシックス)」は、2000年に事業を開始。19年3月時点の売上高は640憶円となりました。同社のユニークな特徴は、毎週木曜日に、「オイシックス」側から「おすすめ」がネット上の買い物かごに入ることです。もちろん、その商品を買う、買わないを決めるのはユーザーで、期日までに必要ないと思ったら食材を抜けばいいシステムになっています。
 
 また、注目すべきは提供するのは食品だけでなく、顧客に喜んでもらえるような食べ方や提案や、わくわくする感動などの体験価値も提供しているということです。ここでカギになるのが、「カスタマー・エクスペリエンス」で、「オイシックス」ではユーザーが使っていて楽しい、心地いい、気が利いていると感じ、提供者が顧客と継続的で良好な関係を築いていくことを念頭に置いて展開しています。
 

 Comment( ブログ筆者) 

ユーザーが楽しいと感じる手法
 ここ20年ほどで日本の経済状況や産業構造は大きく変化しました。世界中での「GAFA」の台頭がすべてを物語っていますが、本書のサブタイトルにはその企業の一つ、「『アマゾン』に勝つ日本企業のすごいマーケティング」についての「アマゾン」についても書かれています。ですから、この本のテーマは正確には「アマゾン」に勝つほどの勢いのある企業とした方がよいでしょう。
 
 それほどに好調に推移している日本企業が本書には登場します。そして、「アマゾン」と同じマーケティング手法を展開しているという点で共通している企業の戦略も書かれています。「アマゾン」については、実際に「アマゾン」のプライム会員であるブログ筆者は、そのサービスの徹底ぶりに感心せざるを得ません。
 
 今年にプライム会員費が値上げされましたが、会員を辞めることは考えませんでした。やはり、どんな商品でも短時間で届けられ、かつ価格もリアル店舗より安いというのが魅力です。しかも本書でも触れていますが「『カスタマー・エクスペリエンス』」の追求を創業以来のビジネスモデルの中心に組み込んでいる」というのです。同社では、サイトを訪問したユーザーの動向を可視化分析し、ユーザーが楽しい、気が利く、好ましいと感じることを商品だけでなく、プライムビデオやプライムミュージックを通じてサービス化しています。
 

本書の著者である田中道昭先生は「アマゾン銀行が誕生する日」など「アマゾン」に関する著書も多く、今回に紹介した本の中でも「アマゾン」の今後の展開についても書いています。今、好調な企業の将来を知る上でも学べる好著といえます。

関連本

「アマゾン銀行が誕生する日」(田中道昭著、日経BP社)

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