Book.世界的投資家が予測する未来「日本への警告~米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く~」

「日本への警告」(ジム・ロジャーズ著 講談社)

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 かつて世界を驚かすほどの驚異的な経済成長を遂げてきた日本は現在、衰退の一途を辿っている・・・・少子化や財政赤字問題をこのまま放置しておけば、行き着く先は破滅にほかならないと著者で世界的投資家のジム・ロジャーズさんは「日本への警告~米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く~」(小里博栄《取材、翻訳、監修》、花輪陽子《監修》 講談社)の中で指摘しています。
 
 ロジャーズさんは大学を卒業後にウォール街で働き、やがて投資家のジョージ・ソロスさんとクォンタム・ファンドを設立し、10年で4200%という驚異的なリターンを出した人物です。同著では現在の日本を取り巻く世界情勢や、日本の問題点と解決策を提言しています。まず、少子高齢化や多額の財政赤字に伴う長期債務残高について、日本人は問題を認識しながらも、問題に対して本気で解決してこなかった。それは「日本は大丈夫」だという根拠のない思い込みをしているからではないかといいます。

 

しかし、公的年金問題がクローズアップされる中で、今は「日本は絶対に大丈夫」だとは信じていない人が増えている。ただ、その破滅的な未来をどう回避すればいいのか分からないのだと断言します。問題の根本には安倍首相の無政策があり、アベノミクスの第一の矢である金融緩和は、日本株価を押し上げ企業が息を吹き返したように語られていますが、通貨切り下げが中長期的に国の経済を成長させたことは一度としてないということです。
 2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに関しても、道路改善やスタジアムの建設事業にかかわる人々や政治家は恩恵を得られるかもしれませんが、オリンピックが国全体を救えたことはありません。むしろ、さらに日本の借金は増えると指摘しています。
 このままでは30年後に日本ではより犯罪が増え、50年後には日本政府に対する反乱が発生すると予測する著者が、現在、日本が克服すべく課題、解決策を挙げています。

 

少子化問題解決が先決

ロジャーズさんは日本では「人口減少」問題を挙げています。とにかく日本政府は、少子化対策について効果があることは何でもやることが先決で、子育てにはインセンティブを与え、女性が仕事と両立できる環境を整えるべきだといいます。
 アメリカやシンガポールでは、女性が産後3か月程度で復職するのが一般的で、日本では1年以上の長期にわたる産休が認めらます。日本の方が恵まれていると思われがちですが、逆で日本では保育園やシッターサービスが不足していることが原因でもあるのです。
 この状況から長期にわたって日本の女性は育児とキャリアの二者選択を迫られ続け、企業にとっては労働力不足につながってしまいます。そのような意味でも日本政府は女性をサポートするサービスを、予算の第一優先にあげて問題解決に取り組むべきだと提言しています。
 
 また、日本企業については、高品質商品の生産を強化することが重要だと掲げています。自動車やテレビゲームなどを見てもわかりますが、日本のクオリティに対する情熱は間違いなく世界一で、2番めの国が思いつかないほどに群を抜いています。日本ほどクオリティに対して「抑えがたい欲望」をもっている国は他には思いつかないというのです。
 他国の文化やビジネスを取り入れて、さらにレベルを上げることに長けていることも注目されます。インドや中国、マレーシアの工場で製造されている無印良品やウォシュレットなどの例にもある通り、「メイド・イン・ジャパン」をもっと世界に広めることを提案しています。
 

Commentブログ筆者

日本の問題点を冷静に分析し提言
 最近の日本を取り巻く世界情勢では、香港の学生たちの政府に対するデモ、イギリスのEU離脱問題、続発する北朝鮮のミサイル発射、緊張の続く日韓関係、そして日本国内では年金問題から増加する幼児虐待まで問題は山積しています。少し考えてみても世界情勢や日本が、依然として激動の時期を迎えていることは誰もが知るところです。
 
 いつのころからか日本はグローバリズムに乗り遅れ、少子高齢化が進み、二極化で貧困層が増えていることは理解できますが、なぜ打開策が見えてこないのかが、分からない人も多いのではないでしょうか。
 この点で世界的投資家のロジャーズさんは、投資家の立場から日本を冷静に分析し、問題点を指摘し改善策を直言しています。後は日本政府がどう変化するかですが、何よりも一番に変化すべき分野が旧態依然としていては、抜本的な問題解決には至らない。状況は悪化するばかりといったところではないでしょうか。そのような意味でも、「日本への警告」では現在の日本がどのような位置にあるのかがよく理解できます。
 
中国の驚異的な成長と朝鮮統一
 世界情勢については中国がアメリカの8倍エンジニア数を輩出していることなども書いていますが、同国の驚異的な成長には目を見張るものがあります。ブログ筆者には海外生活が長い身近な人物がいます。彼が10年程前に、当時、「これからは中国語を話せることが大切だ」と言っていましたが、ロジャーズさんも同じことを考えていることを個人的に注目しました。
 ブログ筆者に身近な人物は社会に出てからのほとんどを海外で生活していますが、海外で仕事や生活することもロジャーズさんが、重要ポイントに掲げていることの一つです。成功し続ける人たちには、いくつか共通項があるようです。

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