Book.<斬新な企画やアイデアはこうして生み出す「『面白い』のつくりかた」>

「面白いのつくり方」
(佐々木健一著 新潮社)

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 仕事でプレゼンテーションを成功させたい、営業で商談を成功させるために営業力を強化したい・・・はビジネスパーソンに多い悩みです。仕事では他人から自分の提案する内容が「面白い」と思われ成功するケースは多々あります。
 「『面白い』」のつくりかた」(新潮社)は、長年にわたり「面白い」を追求してきた著者の佐々木健一さんが、そのノウハウ、発想法を披露しています。
 佐々木さんはNHKエデュケーショナルのディレクターとして、気象学で世界を救った人物やえん罪弁護士などを特集したドキュメンタリー「ブレイブ 勇敢なる者」(NHK総合)などの番組を企画・制作してきました。著作も多く「辞書になった男」「背番号を背負った男」などがあります。「『面白い』」のつくりかた」でも、佐々木さんがアイデア力をつけるために参考になった著書も紹介しています。

 


 インターネットの登場以降、Netflixや「Amazonプライムビデオサービス」などネット系動画配信サービスやニュースが増加し「テレビは以前に比べて面白くない」と感じている人は多いと思います。
 しかし、かつての勢いを失いながらもテレビはいまだ健在で、影響力が大きいことも事実です。検索ワードランキングや「Twitter」のトレンドでは、テレビ番組やテレビタレントの話題が上位を占めています。YouTubeで100万回再生された動画でも、テレビの視聴率は1%にしか過ぎません。
 なぜ、オワコン(終わったコンテンツ)と揶揄されるテレビは終わらないのか。大方の予想に反してしぶとくテレビは生き残っているのです。これらの理由も含め、映画やテレビ番組のヒット作品の生まれた背景や過程を、佐々木さん自身の体験も交えながら披露しています。

面白いは差異に関係

「面白い」「人の心を動かす」とはどんな感覚でしょうか。予想していたことよりも「驚き」「ギャップ」「意外性」「落差」の「差異」があった場合、人は心を動かし楽しいとか、悲しい、面白いと感じる。つまり、「差異」が深くかかわってくるのです。そして、そこでは深い「共感」へと導くものが重要になってきます。
 
 では、どうしたら、「面白い」企画やアイデアは生まれるのでしょうか。「世の中の新しいものは、全て組み合わせから生まれる」といっても過言ではありません。例えば、「ポケモンGO」はスマホ向け位置情報ゲームアプリ「Ingress」と「ポケットモンスター」の世界観を組み合わせたものです。足し算や掛け算だけでなく引き算の組み合わせでは、Twitterは、従来のブログ機能にあえて、「文字数を1回の投稿につき140字に制限する」サービスです。
 
 また、「クリエイティブ」な発想や仕事とはどんな内容をいうのでしょうか。直訳すれば「創造的な」「独創的な」という意味ですが、映画監督の黒澤明さんは「創造とは記憶である」と大島渚監督との対談の中で述べています。つまり、様々な経験を積み、先人の仕事を知り、学ぶという蓄積がなければ、クリエイティブな仕事もできないということになります。もちろん、ただ先人の真似をしたりコピーするのではなく、教えられた通りではなく、独自の方法論を実践できなければなりません。
 そして、何よりも求められるのは構成力です。「始まり」と「終わり」の間をどんな展開にするかによって、物事の伝え方やコンテンツ内容はガラリと変わってしまうのです。構成力は根本的な要素になります。
 

差異と共感の内包

Commentブログ筆者

「『面白い』のつくり方」でも2015年ラグビーW杯で日本ラグビー代表が、当時の優勝候補だった南アフリカ代表チームに勝利した話題を挙げていますが、今年のラグビーW杯では、もっと驚くことが起こっています。日本代表が3連勝(10月5日現在)しているのです。
 
 この状況は日本はラグビー弱小国だったと感じている国民に驚き(差異)を与え、最大の関心事となっています。10月5日のサモア戦の平均視聴率19.3%、瞬間最高視聴率25.2%(ビデオリサーチ)は、国民の約4分の1である2500万人がテレビで観戦していたことになります。
 それまで負け続けていたチームが、強敵に勝利するという「差異」が大きければ大きいほど、関心事は高まりフアンは増えていくのです。もちろん、この4年間に日本チームがどのように強くなってきたかは、これからさまざまに注目されることです。
 
 また、佐々木さんは著書の中で東海テレビのドキュメンタリー番組が話題になることが多いことを例に挙げながら、根底には世間の常識や先入観との「差異」と「共感」を内包していると指摘しています。
 そういえばブログ筆者が、どんなに忙しくても決して見落とさないテレビ番組に、フジテレビが毎週日曜日に放送している「ノンフィクション」があります。この番組もドキュメンタリー番組です。番組によっては、10年の歳月をかけ追いかけているものもあります。
 テレビ番組が、NHK以外になかなかドキュメンタリーや調査報道番組が制作されない状況になっている中で、民放のドキュメンタリーは貴重ですが、やはり、この番組にも「差異」と「共感」が内包されているのかも知れません。 

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