Book.(漫画)元柔道部の小林まことが描くオリンピック柔道金メダリスト 恵本裕子自伝「女子柔道物語⑦」

「JJM女子柔道部物語」
(原作・恵本裕子、脚色、構成、作画・小林まこと 講談社)

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  今回に紹介するのは「JJM女子柔道部物語」(原作・恵本裕子、脚色、構成、作画・小林まこと、講談社)です。このほど「第7巻」が発売されました。原作の恵本裕子さんは1996年のアトランタオリンピック柔道女子61㎏級の金メダリストです。漫画では彼女の自伝を高校時代の柔道部時代から描いています。
 恵本さんは北海道旭川市内のカムイ南高校柔道部の神楽えもとして登場。たった入部5日めで高体連柔道大会旭川支部の新人戦で、61㎏以下に出場し、柔道歴6年目の黒帯の選手相手に苦戦を強いられながらも、逆転勝ちで優勝します。しかし、神楽は全国高等学校柔道選手権全道大会で強敵の三好千歌相手に戦い、右ひじを脱臼し完全敗退となってしまいます。

その後の高校総体北海道大会でも、マスコミに全く注目されていなかったカムイ南の女子柔道部員は健闘します。意外なことに大会では個人戦48キロ級以下では二瓶幸子、52キロ級以下では井堀礼子らが相手選手に勝ち続けます。
 61キロ級以下2回戦では神楽が網走東高校の水町郁代相手に、巴投げで勝ち、72キロ以下ではエースの藤堂美穂も勝利するのです。これでカムイ南高校2年生女子5人は、全員が初戦を突破するのです。
 ノーマークのカムイ南高校女子柔道部でしたが、以降も勝ち続け準決勝のベスト4に進みます。準決勝では何と二瓶が、それまで快進撃を続けていた札幌陽光高校の中川翔音を抑え込み勝利するという大金星をあげます。
 そして、「第7巻」では61キロ以下で神楽が高校総体北海道大会の様子が描かれます。この大会で神楽は、高等学校柔道選手権全道大会で右ひじ脱臼で棄権敗退となった相手の三好千歌とのリベンジマッチに挑みます。

意外にも健闘するカムイ南女子

高校総体北海道大会 女子体重別61キログラム以下級準決勝は、三度笠高校3年生の三好と、カムイ南高校2年の神楽が熱戦を繰り広げます。神楽は三好の内股を押しつぶし場外へ、試合を攻勢に進めます。
 両者、引かないまま攻めては守りの試合が続きます。やがて、神楽が巴投げから三好を抑え込み、優勢のまま大外がりを仕掛けます・・・・。カムイ南高校女子柔道部は、神楽が入部したことで、熱気に包まれるようになるのです。
 
 実際に恵本選手が当時、どんな心情でいたのか、さまざまなエピソードも随所に盛り込まれています。例えば、試合が終わった帰宅途中にバスの中で、監督の花井先生が試合に出場した部員全員に、勝っても負けても褒めてくれたことがうれしかったことや、試合では強かった神楽も、早朝のランニングだけは部を辞めたいと思うほど嫌だったことなどが描かれています。
 もちろん男子柔道部員の様子も描かれていますが、第7巻では、ベオグラード世界選手権で銀メダル、バルセロナ世界選手権で金メダルを獲得した越乃忠則選手も登場します。

原作者が柔道の金メダリスト

Commentブログ筆者
 「1・2の三四郎」や「WhatsMichael」などの代表作がある漫画家の小林まこと先生は、2014 年に引退を表明しました。しかしある日、SNSで恵本さんが小林先生の「柔道部物語」(講談社)を高校時代に読んでいたことを知り、しかも恵本さんが近所に住んでいたことから会うようになりました。当時はミュージシャンとして活動することが増えていた小林先生ですが、恵本さんの話が面白かったことから現役復帰して、自伝を描き始めることを決意します。
 
 「JJM女子柔道部物語」の脚色・構成・作画を担当している小林先生は高校時代に柔道経験者であったことから、漫画家としてデビューして以降も「「1・2の三四郎」「柔道部物語」など多くの柔道や格闘技漫画を描いています。
 また、「WhatsMichael」にもみられるように、どの作品にも魅力的で面白いストーリーが進む中で、ちょっとしたユーモアで笑いを誘う表情やコマがあって読み手を飽きさせない漫画家です。そのユーモアは脚色することで「JJM女子柔道部物語」でも随所に描かれています。

原作者指導でリアルな柔道の作画

激しく厳しい柔道部の世界も、部員たちの姿もどこか、辛さを感じさせないのは、小林先生の作画も大きく影響していることは言うまでもありません。しかし、原作者が柔道金メダリストで、実際に投げなどの指導も受けている小林先生の作画は、リアルの一言に尽きます。  
 
 漫画では神楽(恵本選手)がなぜ、アトランタオリンピックで初めて日本人として金メダルを獲得できたのか、十分なプロセスも描かれるようですが、まだ、物語は始まったばかりの高校生時代です。
 今後に神楽もえが、どう柔道家として成長し金メダリストになるのか楽しみですが、実業団に入ってからの神楽の様子も描かれる予定だそうです。柔道の漫画で実業団の世界を描いているものは少ないので、この辺もいろいろ一般読者が知らない漫画を読めそうです。

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