肉親を殺害され人生が暗転した男と、家族が辿った運命とは。小説「海に沈む空のように」

「海に沈む空のように」(天野響一著、アマゾンkindle版「電子書籍」)

誰もが長い人生では、苦悩と絶望の中で、自分が生きるか死ぬかの戦場にいると実感することがある。

3月8日から小説「海に沈む空のように」がアマゾンkindle版(電子書籍)として発売されました。

★ストーリー ある日、女性の翻訳家が何者かに殺害される事件が発生します。やがて、警察の捜査で犯人が明らかになりますが、なぜ、彼女は殺害されなければならなかったのか不明のまま・・・。

被害者の兄・志賀昭雄はそれまで大手企業で仕事をし、順風満帆に生活してきましたが、殺人事件が発生してから人生の歯車が狂い始めます。妻や娘とはいつにまにか会話がなくなり、やがて仕事では北陸・福井県への転勤を命じられます。それまで福井県の場所さえ知らなかった昭雄ですが、何よりも東京で学生時代からプロを目指してきたメンバーとのバンド活動を辞めざるを得なくなったことが、本人を落胆させてしまうのです。

失望の中でやがて家族と別居し生まれ育った東京から離れ福井で生活をし始めた昭雄は、ある在京のジャーナリストを通じて、妹が殺害されなければならなかった「事件の真相」を究明します。そして殺人事件をきっかけに、仕事も家庭も、バンド活動でも断崖絶壁に立たされた昭雄は、福井で出会った人々との交流を通して、本当の自分自身に立ち戻ろうとします突然の人生の危機に立たされ翻弄された男と家族の、絶望と再生を描く長編。

家族の場が戦場に変わる時

なぜ、家族間で殺人事件が発生するのか、残された家族はどう生きていくのか。

長い期間にわたって経済状況が好転することなく、中間層がなくなり二極化が進む現在の日本では、勝ち組以外には決して住みやすい社会とはいえません。

経済の悪化だけでなく、東日本大震災発生で露呈した震災国・日本、中国に端を発したコロナウイルスによる新型肺炎の流行や、異常気象により多発する災害、年々、狂暴化する通り魔や怨恨による猟奇的な殺人事件・・・悲惨な殺人事件は年を追うごとにその過激さに拍車をかけているようにも見えます。

そして、人が最もくつろげる筈で生活に身近な家庭や家族を襲う悲劇。今も家族間による殺人事件はなくなることがありません。

エリート一家を襲う悲劇

2019年12月16日東京地裁は、同年6月に息子を殺害したとして自首し逮捕された農水省の元事務次官の熊沢英昭被告(76)の裁判員裁判で、熊沢被告に懲役6年の実刑判決を言い渡しました。この事件は大々的にニュースに取り上げられた衝撃的な出来事でしたので、記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。

事件はまさに相手を殺さなければ、自分が殺されるかも知れないという切羽詰まったものでした。長きにわたり引きこもってきた息子は、両親を相手に家庭内暴力をふるってきたのです。そして父親は自らの息子を殺害するという犯行に至りました。

しかも犠牲者は息子以外にも全く違った形で発生してしまいました。事件に絶望した熊沢被告の娘が縁談破断を理由に自殺してしまったのです。

なぜエリート一家を悲劇が襲うのでしょうか。光あるところに恐怖の闇が確実に存在するのでしょうか。そして毎日のように報道される父親や母親による幼い子供への虐待事件・・・・、なぜ、平気で人は自分の生んだ子供を傷つけ殺害することができるのでしょうか。

「海に沈む空のように」(アマゾン電子書籍)は、家族の間に起こった悲劇と、残った家族が事件後にどう変化していくのかをテーマにした小説です。

「海に沈む空のように」(天野響一著、 アマゾンkindle版「電子書籍」)

なぜ苦悩が立ちはだかるのか

また小説では家族間の悲劇だけでなく、原発問題やえん罪事件など日本の現代社会が抱える闇にもスポットをあてています。事件だけでなく地震や災害も多発する日本では、いつ平穏な暮らしが戦場と変化するか分かりません。一寸先が闇なのです。なぜ、我々はこの世界で苦しむのでしょうか。

小説では東京と福井県を舞台に展開しますが、「越前ガニ」(2020年2月にはNHK総合プロフェッショナルで越前ガニの漁師を特集)を名産とし海と山に囲まれた自然が豊かな福井県という地域が、なぜ、いつの間にか日本で一番に原子力発電所の多い県になってしまったのか。         

原発事故が発生しないことを願う地元で生活する県民の気持ちを無視するような状況について、東日本大震災以降の原発行政の状況も織り交ぜながら、今一度、震災と原発の問題についても再考しています。福島原発事故は世界的にみても大惨事となった事故だったということは忘れてはいけないのです。2月現在の福島第一原発の3号機の放射線量は東京の6600倍、溶け落ちた核燃料デプリは880トンですが行先は不明です。原発処理に関しては9年が経過しても、まだ何も解決していないに等しいといえます。

                   

震災時に家を壊され家族4人を失い一人生き残った人は、9年が経過した今年に同じ場所に家を新築するといいます。逝った家族がここに住みたがっているというのが理由です。誰もがふるさとは、そう簡単には離れられないのです。

世界中で異常事態となった新型コロナウイルスによる経済的打撃は、東日本大震災並みになりかねないとの見方もあります。困難な現実が次々に人間を襲うのはなぜでしょうか。

「海に沈む空のように」を書こうとしたきっかけも、実際に筆者の身近に起こった出来事がきっかけでした。ここで述べておきたいことは、殺人事件や事故は、マスコミが伝えることなく、ニュースが伝えることもなく、公にされることがないケースもあるということです。そして、事件に関わった家族や当事者たちは、一生を重い出来事を忘れることなく、闇と対峙しながら懸命に生きているのです。

小説の第一脱稿は2019年3月でしたので(この3か月後に 農林省の元事務次官 による殺人事件が発生)、電子書籍化までに長い時間を要してしまいました。改稿作業のほかに時間がかかった理由はいくつかあります。

現在も早朝から夜遅くまで、軽作業とはいえ肉体労働を続ける筆者は、多忙な毎日の生活に追われる身です。この中でパソコンに向かい書く時間を作りながら、ブログを作成し続けることなどにも時間を要してきたという経緯がありました。この小説は、そんな日常の中から生まれた作品です。

「海に沈む空のように」(天野響一著 、アマゾンkindle版「電子書籍」 )

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2 件のコメント

  • こんばんは、sannigo(さんご)です。
    早速読ませていただきました。最初の殺人事件でミステリーなの?って思ったりもしましたが(笑)本当に社会派小説でいろいろ考えることが出来ました。終わり方がとてもさわやかで社会派小説で読後感がこんなにさわやかでよいのでしょうか?って感じでした。読み始めから入り込み一気に読み終えました。すてきな小説を知ることが出来てうれしかったです。
    では、またです。

    • 3月8日から小説「海に沈む空のように」がアマゾンkindle版(電子書籍)として発売されました。おめでとうございます。
      天野さんがこれをきっかけに小説家として飛躍されることを心より祈っております。

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